頂点間距離による見え方・レンズ度数の違い
メガネを購入した際に、前と同じ度数なのに「見え方が違う」と感じられたことがあると思います。
レンズの大きさ(玉型サイズ)や、レンズ設計によっても、見え方や感じ方が違う場合がありますが、ここでは、頂点間距離の変化による「見え方」「レンズ度数」の違いについて説明したいと思います。
頂点間距離とは
頂点間距離とは、角膜頂点からレンズ後面までの距離をさします。標準では12mmで設定されます。(必ず12mmにしなければならないことはありません)
頂点間距離による度数の違い
レンズの度数が同じでも、頂点間距離が変わるだけで、体感の度数は変化します。
角膜頂点間距離による度数換算の計算式
角膜頂点間距離による度数換算の計算式は以下のようになります。
L:角膜頂点間距離(単位:m / 符号:-)
D:度数
「L」「D」の右下の数字:「0」は検査時のもの、「1」は作成したメガネのもの
実際の度数で説明
度数検査をして、標準の角膜頂点間距離で「-8.00」の決定度数だったとします。
D0=-8.00
L0=-12/1000=-0.0.12 (←mmをmに換算)
メガネを掛けると角膜頂点間距離が、14mmでした。
L1=-14/1000=-0.0.14 (←mmをmに換算)
以上の数値を計算式に当てはめたものが↓これ
-8/(1-(-0.014-(-0.012))*(-8.00))=-8.130
つまり、角膜頂点間距離が12mmから「2mm広がり」、14mmとなった場合、
検査結果と同じ矯正効果のあるメガネにしようとするならば、
レンズ度数は、「-8.13」である必要があります。
検査度数と同じ「-8.00」の度数でメガネを作成して装用すると。。。。
「-0.13」だけ未矯正の体感となります。
レンズの頂点間距離が変化した場合の眼に与える矯正効果の変化量の計算式
角膜頂点間距離による度数換算の計算式はややこしいですね。。。。
もっと簡単な式をご紹介します。
この↓計算式ですと、「頂点間距離のズレ」と「度数」を入れたシンプルな計算で算出できます。
※D=度数(dpt) △L=頂点間距離(m)
さきほどの事例で計算してみましょう。
頂点間距離 12mm → 14mm の変化量は2mmです。m(メートル)換算するために最後の値は1000で割っています。
(8.00x8.00)x(2/1000)=0.128
頂点間距離が2mm変化することによって、0.128の度数変化があると分かります。
考慮すべき矯正度数
矯正度数がどれくらいから、シビアにチェックすべきか考えてみましょう。
先程の「-8.00」の近視度数では、2mmの変化で「0.13」の度数変化がありました。
一般的には、レンズの度数の刻みは「0.25」ですから、「0.13」というのは、その半分(中間度数)です。
ですので、このあたりが一つの基準かと思います。
頂点間距離が3mm変化すれば、「0.192」ですので、約1段階(0.25)に近づいてきました。
「-8.00」で3mm変化した場合は、1段階強めの度数を入れなければ、検査で決定した度数と同じ矯正効果は期待しにくいでしょう。
眼鏡学校で習った教科書には、
「ただし、5dptr.以下のレンズでは、これを考慮するほどの事はありません」と記載されています。
「-5.00」で、頂点間距離が3mm違うと、どうでしょう???
「0.075」の変化量です。わずかですね!
もっと広げ、5mmほど違うとどうでしょう???
これで、ようやく中間度数の「0.125」の変化量です。
5mm広がるということは、
頂点間距離が、12mm→ (5mm) → 「17mm になる」ということです。
これは、ひと目で「メガネが相当前に飛び出している感じだよね!?」となり、
外観的にも、非常に違和感を感じるレベルです。
前述の「-8.00」の2mmでも、「まぁまぁ、メガネが前に出てる~!?」という感じですので、
あえて、総合的におおざっぱにいうと、「強度近視」あたりからは、頂点間距離に充分気をつけよう!という感じではないでしょうか。。。