レンズ厚みを薄くする方法|説明・解説
「メガネレンズの厚みが気になる」、「もっと薄くしたい」、「値段はそのまま、なるべく薄くしたい」
ある程度、度数が強くなると、レンズの厚みが気になってくるものですよね。
メガネ・ユーザーの皆様に役立つ情報を説明・解説していきたいと思います。
メガネやレンズの知識が少しつくだけで、賢いメガネ選びができるようになりますよ。
レンズ屈折率の高いレンズ
「屈折率」の高いレンズほど薄くなります。シンプルに、「屈折率が高いレンズ」ほど、薄いということです!
ここでは、レンズの屈折率と薄さを説明します。
しかし、
「薄いレンズだから、出来上がりのメガネ・レンズも薄くなる!」ということが、一概には言えないことも多々ありますので、注意が必要です。この件については、別途ご説明を加えております。
屈折率とは
光は、空気中から別の物質(レンズ等)に入ると、境界面を通過したあと、光の進行方向が変わり、折れ曲がります。これを「光の屈折」といいます。
屈折(折れ曲がる)の割合は、光が通り抜ける物質により定まっています。物質によって、曲がる大きさが変化するということです。
この違いを数値で表現したものを「屈折率」と言います。屈折率が大きいほど、大きく曲がります。
屈折率が高いと、少しの厚み(距離)を通るだけで大きく曲げられるため、高屈折率のレンズほど、レンズが薄くなります。
最も薄いレンズ
「薄い」「厚い」というのは相対的な比較ですが、現時点では、「薄型レンズ」と呼ばれるのは「屈折率が1.60」以上のレンズかと思います。
薄型レンズの屈折率を順番に記載すると、以下の3つになります。
※「( )カッコ内」は、メーカーにより若干異なる屈折率があるため。
(1)1.60 → (2)1.67(1.70) → (3)1.74(1.76)
当店では、「薄型=1.60」、「超薄型=1.67」、「最薄=1.74」としています。
1.74を「極薄」と言ったり、お店により様々ですが、この呼び方は、「3つのレンズの違いを分かりやすく表現する」ためのものです。
世界で最も薄いレンズは、東海光学の1.76となります(現時点:2022年)。
ガラスレンズ
メガネに使われる、ほとんどのレンズが「プラスティック・レンズ」なので、前置きなく、プラスティック・レンズ前提での説明をしてきました。。。
実は、現在では、あまり需要がない「ガラスレンズ」には、「より薄いレンズ」が存在します。
プラスチックレンズより、薄いものだけ挙げますと、「屈折率1.80」「屈折率1.90」のガラスレンズがあります。
一番薄くなるのに、なぜ現在では需要が少ないかについては、別途、違うページにて説明を致します。
メガネと顔のバランス
メガネと顔のバランスの相性を、考えることが大事です!!
「メガネと顔のバランス???」
さきほど説明していた、「一番薄いレンズを選べば良いのでは?」と、考える方が大半ではないでしょうか。。。
「薄いレンズを使うと、薄くなる」というのは、間違いではないですが、
それ以上に、大事なのは、
「自分の顔は、どんなサイズのメガネと相性が良いのか?」
です。
とても薄いレンズを選ぶことが間違っているわけではないですが、優先順位は「相性」です。
「顔と眼鏡サイズのバランス」は、「近視」と「遠視」で異なりますので、以下、それぞれのケースについて、説明します。
近視度数(近視レンズ)
レンズの形は大別すると、近視・遠視の2つに別れます。
もっとも認知されている近視度数から、まずは説明します。
近視用のレンズの断面(真横から見た図)は、こんな形。
メガネに合わせて削る前の「丸生地」は、こんなフォルムをしています。
レンズ中心が一番薄く、端(両端)にいくほど、厚くなっています。
「レンズ外側」を削り、「中心のごく一部だけ」を削り出せば、必然的に、とても薄くなります。
実際の例で見ていきましょう。
まずは、2つの図を見て、少しだけ覚えてください。
1)PD(瞳孔間距離)
両眼の距離(右眼と左眼の距離)です。
男性は64mm、女性は62~60mm、が平均的なサイズと言われています。
成人であれば、通常ほぼ変化しませんので、ご自分のPDを覚えておかれると良いかもしれません。
2)フレームPD
玉型サイズ(レンズ幅)、ブリッジ幅を覚えてください。
玉型サイズ+ブリッジ幅を足したものが「フレームPD」。
「メガネのレンズ中心間の距離」と思ってもらえば良いと思います。
PDとフレームPDのバランスによるレンズ厚み
レンズの厚みは、先程の、1「PD」、2「フレームPD」、
この2つのバランスによって大きく左右されます。
いびつな形ですが、下記のようなフォルムのメガネ・フレームがあったとしましょう。
同じような形で、大小さまざまなサイズ違いのものも、存在するとします。
a)小さなサイズ
下記図は、上から順に、
・メガネ
・目
・レンズ
を表しています。
眼が、ちょうど玉型の中心にあるようなサイズを選んだ場合の例です。
玉型(レンズ幅)は、とても小さいサイズのメガネ。
玉型(レンズ)に合わせてレンズを削り出すと、レンズの厚みは「赤線の長さ」となります。
レンズ丸生地では、ものすごく分厚かったのに、削り出したら、とても薄くなります。
b)大きなサイズ
aと同様に、
「眼が、ちょうど玉型の中心にあるようなサイズ」を選んでいますが、
玉型(レンズ幅)がともて大きなサイズです。
玉型(レンズ幅)が大きいので、丸生地の端の方を切り取る(削る)ようになります。
削り出したレンズの厚みは、もちろん分厚くなってしまいます。
c)小さいけど幅の広いサイズ
aと同じ「とても小さい玉型(レンズ幅)」です。
ただ、aと比較すると、
玉型部(レンズ部)が、両端の方に偏(かたよ)ってよっていますね。
aに比べて、丸生地の端の方を切り取る(削り出す)ようになるので、レンズの厚みは厚くなります。
a⇔c 比較|バランス違いによるレンズ厚み比較
比較しやすいように、「同じ玉形」の(a)と(c)を並べて、再度表示してみます。
どちらも同じ玉型(レンズ幅)だけど、玉型部(レンズ部)の位置によって、レンズの厚みが倍以上違います。
PD(瞳孔間距離)と、フレームPDの、バランス関係がレンズの厚みに大きく影響を及ぼしていることがお分かりいただけるでしょうか?
バランスが大事
顔(眼の距離)と、メガネサイズ(玉型)を、ちょっと考えてやるだけで、レンズ厚みが大きく変化することが分かったと思います。
同じレンズを使った場合でも、サイズのバランスに気をつけることで、出来上がりのメガネの印象(レンズ厚み)はかなり変わります。
遠視度数(遠視レンズ)
遠視の度数のレンズは、近視レンズとは反対に、中心が厚く周辺部(端)にいくほど薄くなります。
こんな感じの形です。
近視のレンズと違い、玉型を小さくし、レンズ中央部分を切り取っても薄くなりません。逆に、切り出された断面は中央部にいくほど厚くなってしまいます。
レンズを薄くするには、「最も薄いレンズ」を使うしか方法はない?
という発想になりそうですが、実は違います。
「最も薄いレンズ」にした割には、意外に薄くなりにくいです。
優先的に考えるのは、近視レンズと同様、玉型(レンズ幅)サイズが鍵を握ります。
ただし、「りくつ」は近視レンズとは異なります。
具体的な話で説明します。
前面カーブと後面カーブの「カーブ差」によって度数が決定します。
これは近視レンズも同様です。
前面カーブと後面カーブ、それぞれの線だけを抽出してみました。
この2つの線の関係性が保たれていれば、各線が近づいても遠ざかっても、度数は一定です。
前面カーブと、後面カーブを近づけてみましょう。
この場合、赤線と青線で囲まれた(水色の)箇所が、レンズとして製造されるわけです。
上の2つのレンズは、どちらも、同じ度数です。
この同一度数の2つのレンズ、構造を見比べるために、並べて↓みました。
a)普通に注文したレンズ
b)前面・後面カーブを近づけたレンズ
レンズ前面・レンズ後面を近づけると、b図のように、レンズ外径(直径)が小さくなります。
同時に、中心厚が薄くなります。
つまり、言い方を変えれば、
「外径指定」をしてあげれば、性能の同じレンズでも、かなり薄くする事が可能です。
外径指定でレンズを薄くする
外径指定をすればレンズを薄くできますが、2つ注意点があります。
1)特注料金
同一レンズを注文した場合でも、外径指定をすると、「特注」となるため、別途「特注料金」が発生します。
2)眼と眼鏡デザインの相性
玉型サイズが小さければ、その分だけ、外径は小さくなり中心厚は薄くなります。
ですが、「近視レンズ」で説明したように、
玉型サイズが小さくても、
PD(瞳孔間距離)と、フレームPDとの関係性により、眼からレンズ端までの距離が変化します。
このバランスが良いと、最も薄くすることが可能です。
デフォルトのレンズ外径
遠視レンズは、近視レンズに比べ、外径が小さいものが多いです。
弱い度数であれば、レンズを薄くすることを考えなくも良いと思いますが、
そもそも、レンズ外径が足りない?とならないように、さきほどの、PDとフレームPDとのバランスはある程度、考えて選択することが必要になります。
(続きを作成中です。しばらくお待ちください m(_ _)m )